「多重知能理論」は英語でthe theory of multiple intelligencesですので、通常は略してMIと言います。ハーバード大学のハワード・ガードナー博士(心理学)が発表しました。
「多重知能理論」って、難しい言葉ですね。ひとはだれでも複数(8種類)の知能を持っているという理論です。 簡単に言うと、知能は「読み書きそろばん」だけじゃない、ということです。簡単すぎて、ガードナー博士に叱られそうです。あはは。
子どもを話題にするとき、「Aさんはお勉強はできないけど走るのが早くて運動会ではリレーでヒーローになるよね。」「Bさんはお勉強はできるけれど、歌も絵も下手だよね。」などと言いませんか?それをMI流に言い換えると「Aさんは言語知能と論理知能に比べて身体知能が発達しているね。」「Bさんは言語知能や数学知能は高いけれど、音楽知能と空間知能がまだあまり発達していないね。」となります。
そう、体育や音楽や図工のような能力を「知能」と位置付けているのです。さらに、人間関係の知能、博物の知能など、従来のIQテストでは測ることができない面に光を当てています。
子どもが8つの知能を活かして英語授業に参加する方法を図表にしてみました。Linguistic Intelligence (言語知能)という用語をWord Smart(言葉の知能)のように言い換えて、
わかりやすく、親しみやすくしています。
人は誰でも、この8種類の知能を持っています。その割合が人によって異なるので、個性が生まれます。そして、8つの知能は密接に絡み合っているので、自分の得意な知能を活かして活動することで、必ず他の知能も発達します。生きている間、ずっと成長するのです。
ご自分が受けた英語授業を思い出してください。Word Smartに偏っていませんでしたか?椅子に座って、ずっと前を向いて、いわゆる「座学」で英語学習を始めた時、辛いと思いませんでしたか?でも、自分が英語を教えることになると、無意識のうちに自分が受けた教育方法をなぞっていませんか?
「多重知能理論」を知ると、できないことに悩むより、どうしたらできるようになるか方法を探すヒントを見つけることができます。
このサイトでは、先生の得意な知能を活かし、子どもの得意な知能を活かし、全ての知能を伸ばしていく教え方を探っていきます。
***「多重知能理論」について本を紹介します。
『Intelligence Reframed: Multiple Intelligences for the 21st Century』 Howard Gardner. 1999 Basic Books
『MI: 個性を生かす多重知能の理論』ハワード・ガードナー著。松村暢隆訳。2001年。新曜社
実は、英語も日本語訳も、bumpy readingで、手こずります。そこで、この理論を教育の場面に応用して平易な英語で解き明かしたThomas Armstrong博士の著書が私の拠り所になりました。
『In Their Own Way: Discovering and Encouraging Your Child’s Multiple Intelligences』 Thomas Armstrong. 2000. Jeremy P. Tarcher/Putnam.
『マルチ能力が育む子どもの生きる力』トーマス・アームストロング著。吉田新一郎訳。小学館
英語教育に特化していないMIについて読みたい方には次の2冊がお勧めです。
『脳科学を活かした授業をつくる:子どもが生き生きと学ぶために」本田恵子著。2006. C.S.L.
『自分の強みを見つけよう:「8つの知能」で未来を切り開く』有賀三夏著。2018 ヤマハミュージックメディア
MI理論に基づいて組み立てられた節子先生の授業案を、昨年秋にオンラインで自教室生徒に行いました。
体を動かすのが得意な子、お勉強が得意な子、絵が得意な子と、特性が見事にバラバラの子どもたち、でも誰もがテストの点だけが賢さではないという視点に励まされていました。また、8つの知能は一律に上がっていくのではなく、凸凹を成しながら伸びていくという考えは、今だけを見ない、未来にむけて努力するという姿勢をこのコロナの最中に植え付けてくれました。
前々から知り合いの小学校の先生に紹介するたびに感謝されるMI理論です。これからもどんどん広めていってください!