【Cooperative Learning :協同学習についてお話ししましょう】

「協同学習」の漢字に注目してください。「共同」ではなく「協同」です。どう違うのでしょう。私の考えでは、「共同」は1本の材木を一緒にかついで重さを分け合うのに対し、「協同」は1本の材木を運ぶにはどうしたら良いか一緒に考えて実行に移すのだと思います。イメージできますか?

「協同学習」では、学生をグループに分け、グループ内でコミュニケーション活動をします。対話をする・協同で問題を解決することで英語学習を促進するというのは理にかなっています。英語は「語学」ではなくて、スイミングやテニスと同様に「実技」ですから、反復練習を重ねることで上達します。目的を持って意味のある言葉をやり取りすることが重要です。

協同学習を多重知能理論の視点で見ると、Word SmartとPeople Smartを同時に活性化させる授業と言えますね。これを、どのように子どもの英語授業に取り入れることができるでしょうか?

私はSpencer Kagan博士のワークショップに参加し、博士が日本の学会の児童英語分科会で講演された時、逐次通訳を務めたことで多くを学びました。Kagan博士の素晴らしい点は、協同学習の4つの条件を簡略にまとめられたことです。「P-I-E-S. Pies!と覚えてください。授業案を作ったら、この4つを満たしているかチェックしてください。」と言われました。

P : Positive Interdependence(互恵的相互依存)

I : Individual Accountability(個人の責任)

E : Equal Participation(平等な参加)

S : Simultaneous Interaction(活動の同時性)

難しい用語が並んでいますが、実はとてもシンプルです。ここで絵本を使った活動を見てみましょう。

「Yo! Yes?」(Chris Raschka作)は1994年にカルデコット賞を受賞した名作です。単語数は35です。子どもが二人登場し、ひとりがYo! と呼びかけ、もうひとりがYes?と答えます。これを演じてみましょう。Yo!はどんな気持ちでどんな言葉を表しているか考えます。「友達になりたいなあ。ねえ、ちょっと!」「え、ぼくに話しかけてるの?」という気持ちを体と顔の表情と声の色で表現します。

見開きごとに同様に続け、最後に二人はYOW!と叫んで飛び上がります。「わーい、ぼくたち友達だ!」という喜びのエンディングです。

想像してみてください。この活動は、4つの条件を満たしているでしょう。

協同学習については、具体的な活動案の中でも言及していきます。実例があると、よくわかっていただけると思います。

***参考図書について***

多くの研究者・教師が拠り所としているリソースは『ACTIVE LEARNING: COOPERATION IN THE COLLEG CLASSROOM, 1/E』 Johnson, Johnson and Smith です。日本語訳は、玉川大学出版部から「学生参加型の大学授業:協同学習への実践ガイド」が出ています。私がこれを買ったのは2003年のことで、既に絶版になりましたが、某インターネット書店では中古品が手に入るようですので、ご紹介することにしました。(原典である英語の論文は入手可能です。)