息子が幼いときブロッコリを見て「みどりい」と言いました。息子の友だちは髪のリボンを「ぴんくい」と言いました。色の形容詞は「赤い、白い、黒い、青い」のように「い」で終わりますから、この二人の子どもは日本語用法を推測して使ったのです。かわゆす!
赤、白、黒、青は日本語の四原色と言えます。この四つの色は反対色を持っています。赤⇄青、白⇄黒、赤⇄白です。ですから、赤信号の反対の GO signalが、実際には緑色なのに青信号と呼ばれるのは、日本語として自然な命名です。
青は、赤の反対色ですから、赤鬼 vs 青鬼、色鉛筆の赤と青のようにセットになっています。青は明るい色を示す広い色名なので、青空、青海、青葉のように他の言葉と複合して使われています。実際には緑色なのに青と表現されているものには、青葉、青菜、青リンゴ、青虫、青竹、青豆、青畳、青二才などがあり、この「青」は未成熟で新鮮であることを意味しています。
相撲の土俵の屋根には四色の総(ふさ)が吊るされています。赤、白、黒、緑ですが、緑は青龍と呼ばれる「青」です。この四色は四つの方向を表し、また四季を表しています。
私はこれらのことを2012年のPENフォーラムで佐藤貴子さんの発表で知りました。へえぇ~!口あんぐり開け過ぎてあごがテーブルに付くかと思いました。佐藤貴子さんとは何度もTeam Teachingをする機会がありました。子どもが前のめりになって熱中し、英語を言いたくなり、英語だけでなく総合的に賢く物知りになる授業でした。私の提唱する絵本の活用もどんどん取り入れられます。
日本語の四原色、緑色を青で表す言葉の数々に注目させた後、補色を扱った絵本「Hello, Red Fox」を使った授業案は、発表から10年近く経っても新鮮です。ダウンロードして追試行・活用してください。
この授業案の中で出典として小松英雄著「日本語の歴史」(笠間書院 2001年)の一読をお勧めします。日本語を「国語」ではなく言語として読み解いています。学術的な内容ですが、文章にくだけたユーモアがあるのは、著者の人柄なのでしょう。私は内容を咀嚼しながら少しずつゆっくり読んでいます。ふぅ。易きに流れる日々に、ちょっとずつ読み進む本があっても良いです。
授業案のダウンロードは、下記のボタンからどうぞ。