単語そのものが性別を表すことに誰も疑問を持たなかった時代は終わりました。女性が様々な職業に進出するだけでなく、男性も性別の枠を越えて職業選択をしています。
最初に変化が生まれたのは、家族の在り方を反映するhousewifeという単語だったと思います。ジョン・レノンが主夫宣言をしてhouse husbandという単語を広く知られるようになりました。日本語では未だに「主夫」という単語が生きていますが、英語ではhomemakerという単語に置き換わっています。
「主婦」の定義は、一家の主人の妻で家事全般を取り仕切るひととなっています。この定義が当てはまる人が減少し、「専業主婦」「兼業主婦」と言い分けたりします。1990年代にある国立大学の英語講師をしていました。非常勤講師の休憩室で、お世話をしてくださる事務官にお弁当を手配してもらって食べていましたら、ドイツ語の非常勤講師の男性に「お弁当ですか。主婦なんだからお弁当を作れば良いのに。」と言われてびっくり仰天した記憶があります。
次に変化があったのはnurseでした。男性を看護婦と呼べないので、看護師になったとテレビのニュースに出ていたかもしれません。英語でもmale nurseという時期がありました。現在は男性も女性もnurseです。そして日本語では看護師・看護士になっています。
私がとても気に入った韓国ドラマに「検事内伝」があります。家事と仕事の両立で疲れ果てる「女性検事」を描いた一話の冒頭で「女学生、学生、教師、女教師、検事、女検事、等々」と映像が出て、エンディングで「もう職業名の頭に女とつけるのはやめても良いのでは。」と同じ映像にナレーションが入りました。この回の中盤で検事である夫に休職してもらって育児をしてもらおう、と嫁姑で話し合う場面もありました。
私の息子は2番目の子どもが生まれた時、2ヶ月の育児休暇を取りました。それができる会社も、それを実践する息子もえらいと思いました。コロナ禍で家族内で協力するしかなかったとはいえ、社会の変化を体感しました。
さて、ELT出版の執筆をしていると職業の単語を扱います。原則として-manがつく単語は使いません。
chair person (chairman)
fire fighter (fireman)
flight attendant (stewardess)
mail carrier (postman, mailman)
police officer (policeman, police woman)
sales clerk, sales person (salesman)
wait person (waiter, waitress)
これくらい押さえておくと、子どもの英語授業計画を作るのに役立つと思います。