古稀日記 12月10日 【a born dancer】

12月歌舞伎座の2部は「男女道成寺」(めおとどうじょうじ)です。「道成寺」は安珍と清姫の物語がベースの舞踊劇で、美しい白拍子(踊り子)は実は大蛇で、安珍が隠れた鐘を見に現れ、最後に鐘に登って絡みつきます。超絶かっこいいラスト!

現在の歌舞伎座は3部制で各部を幕間を入れて2時間に収めるため、1時間近い「男女道成寺」を30分の短縮バージョンにしています。私は2016年5月に海老蔵と菊之助の「男女道成寺」を見ました。最初に大勢の小坊主が「聞いたか、聞いたか」とぞろぞろと花道から出ます。途中で手ぬぐい撒きもありました。(手ぬぐいゲットしましたぁ)

短縮バージョンは小坊主ゼロ、手ぬぐい撒き無しで、主役の踊りがフィーチュアされています。

もとは「京鹿子娘道成寺」というソロの演目ですが、「男女道成寺」「奴道成寺」などの変型があります。玉三郎は「二人娘道成寺」で菊之助や児太郎を育て芸を継承しました。また、2016年12月には「五人娘道成寺」を創作し、勘九郎、七之助、梅枝、児太郎と一緒に踊りました。それはそれは綺麗で、どの白拍子を見たら良いか目移りしましたが、5人並ぶと玉三郎が一番美しくて仰天でした。

その五人並びの舞台写真がこれです。

児太郎、勘九郎、玉三郎、梅枝、七之助 2016年12月

翌年、児太郎後援会の集まりで児太郎本人にサインをお願いしたら、左端の自分のところに小さいサインをしてくれました。その奥ゆかしさにおきぬ&おせつはクラクラっとしました。

さて、今月の「男女道成寺」は、勘九郎と右近です。二人は再従兄弟ですが、母系の親戚なので歌舞伎のお家が異なり、今まで共演することがなかった。二人とも踊りの巧者なので、本当に楽しみでした。勘九郎はBSドラマ「中村仲蔵」前編で血みどろの顔を見たばかりでしたから、白拍子の衣装で端正で上品なお顔を見た瞬間に「これを見るだけで価値がある」と感激。右近は最初白拍子ですが、男であることがバレてお着替えをして登場し、三つ面踊りを披露します。猿之助に習ったのでしょう。猿之助みたいでした。しょっちゅうドヤ顔。そして、勘九郎と並んで踊るのが嬉しくて仕方ないようで、二人同時の海老反りあたりからバネが効いて跳ねていました。勘九郎は終始落ち着いて、動きはきっかり、胸に恨みを秘めた女のオーラでした。

ロビーで右近ママとお会いしたのでご挨拶し「ケンケン、あんなに嬉しそうに踊って良いんでしょうか?」とつい言ってしまいました。右近ママは「張り切ってるの。大張り切りが止まらない!」とおっしゃいました。「大張り切り」!確かに!

コメント (3)
  1. えの字 より:

    せの字~!
    現在上演中、12月大歌舞伎「男女道成寺」、5年前の「五人娘道成寺」を交えてのお話とても興味深く拝読‼お江戸凱旋の喜び伝わります。歌舞伎座へ行きたくなりますね。うっかりしました…BSドラマ「中村仲蔵」前編見逃していました後編は必ずや!

  2. 外山節子 より:

    えの字〜!

    コメントをありがとうございます。1年10ヶ月ぶりの木挽町でした。中村仲蔵の前編、ダビングしますね。絶対に見てもらいたいから。番組最後のクレジットが出るでしょう。そこで、勘九郎が監督のリクエストに応えて「モダンダンス風」に踊ります。これがね、Kカンパニーより、モーリス・ベジャールより凄いのです。勘九郎、a born dancerです。

  3. えの字 より:

    a born dancer 勘九郎楽しみです!!中村屋踊りの筋が良い事は脈々と勘三郎へと引き継がていますね。

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