古稀日記 12月13日 【a born actor】

新潟気象台が初雪を宣言しました。我が家の庭も白くなりました。

さて、「ぢいさんばあさん」は森鴎外原作。今月は主人公の美濃部伊織と妻「るん」を勘九郎と菊之助が演じています。「るん」という名前はユニークで記憶に残ります。

伊織とるんは初子が生まれたばかりの新婚さんでべたべたの仲良しです。るんの弟が刃傷事件を起こし、その罰を伊織が肩代わりして明日から一年京都に単身赴任になる日で始まります。義理の弟に「短気は損気」と言い聞かせる伊織が、京都で意地の悪い同輩を「短気」で殺してしまいます。本当なら死罪なのですが大家にお預けになり、三十七年後やっと恩赦され、「るん」と再会します。

歌舞伎といっても現代の時代劇的な演目です。古典より演じやすいのでしょう、中年になって歌舞伎デビューした中車が何度も主演しました。私は笑也のるん、扇雀のるんで見ています。笑也も扇雀も老女になって白(白髪のカツラをハクと呼ぶ)をかぶっての登場が息をのむほど美しかった。歌舞伎は役者を見に行くので、役者が役にはまっていると安心して舞台に集中できます。

歌舞伎は実年齢より若い役を演じる方が安心して見ていられます。五十路の中車が二十代の若侍を演じていても不思議は無いのです。しかし、老け役の演技は難しい。 中車の老け役はそれはそれは上手でしたが、老人メイクが下手で漫画みたいで気になってお芝居に集中できなかったのを覚えています。 また、老人の歩き方はよぼよぼを誇張すると、ドリフのコミカル演技と紙一重です。

勘九郎は発端の若い伊織を自然体で演じることができます。老け役はどうか?と気がかりでした。ちょっとコミカルに過ぎるかなという動きもありました。しかし、声が老人になっていました。勘九郎の声はちょっと甲高いのですが、年をとって少しかすれた感じが出ていて、その声で「るん。るん。」と何度も何度も呼ぶ場面で、つい涙が。。。1席置いたお隣の中村屋後援会員専用マスクをした女性はぐしゃぐしゃに泣いていました。

歌舞伎役者は「声、顔、姿」。まずは、声なのです。

菊之助のるんは言うことなし。大した役者ですわ。勘九郎の相手役は普段は弟の七之助ですが、お家の違う菊之助との共演が勘九郎を成長させていると思います。中村屋の歌舞伎座出演が増えて他のお家とのミックス&マッチが数多く実現することを願います。

筋書き(プログラム)の表紙も雪景色

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