古稀日記 1月3日 【Dates and days are messed up.】

三ヶ日は、曜日と日付がわからなくなりました。今日は1月2日(昨日、日曜日)のことを書きます。午後、凪画伯一家を新幹線駅で見送りました。

夜はEテレで歌舞伎座生中継を録画しつつリアルタイムで見ました。猿之助の「四の切」。 私は「 四の切」がかかると25日のうち何度も見に行き、2013年以降の数年間で20回くらい見ています。 4年前に左前腕開放骨折という大怪我をした猿之助が「 四の切」を演じるのは、正真正銘の復活です。

「 四の切」は「義経千本桜」のスピンオフ演目です。義経の忠臣である忠信に化けて静に付き添っているのは仔狐です。義経が「自分と思って大切にせよ」と静に与えた鼓は、この仔キツネの父母の皮が張られています。仔狐は鼓を父母と慕って静について行ったのでした。

猿之助は最初人間のとして登場し、忠信の拵えをして長袴を美しくさばく猿之助は文楽の人形に息を吹き込んだようです。うっとり。さらに仔狐が化けている忠信に早替りして、二役を演じます。

仔狐は親を想う心を演じながら、様々な「ケレン」を見せます。欄間の抜け穴から飛び降りたり、欄干の上を歩いたり、人ではないモノの超能力を見せるのです。最初に階段の仕掛けからすっと出ます。このとき、「出があるよ~!」と声がかかり、舞台上の静も観客も花道の出入り口を見ます。昨夜のNHKのカメラワークはこの仕掛けから出る様子を映していませんでした。がっかり。これは不親切です。仕掛けを見るのを含めて「愉しみ」だと思います。

この場面の最下部に狐忠信の頭が。。。
次の瞬間「引き」の映像!これは初見者には訳わかりません。

浄瑠璃は葵太夫。私は愛太夫さんの語る「 四の切」が最高だと思うのですが、葵太夫さんは現在の竹本の最ベテランで、この方の「 四の切」も素晴らしいのでござります〜る〜。

最後に仔狐が飛んでいく(宙乗り)とき、通常は舞台上で義経と静の二人が見送るのですが(客全員が仔狐を見上げていて、誰も舞台を見ていません!)今回の演出では澤瀉屋の役者たちが勢揃いしていました。粋な演出です。歌舞伎界最高齢の寿猿さんがお元気に舞台に上がっていらして、めでたいことでした。

コメント (6)
  1. 平井花画 より:

    お久しぶりです〜〜〜。ブログを拝見して、お変わりないことを確認しました。岐阜は、先ほどまで雨が降ってましたが、今は、よく晴れています。
    お正月のテーブルで、外山さんの話になりました・・phonicsの話が出てきたからですが・・・
    コロナが収束したら、新潟に行きたいと思っています・・会えると良いな〜〜と。
    時々、ブログを拝見しにきます。私は、facebookに居ます。

  2. 外山節子 より:

    花画さま、コメントをありがとうございます。私はSNSはしていませんが、このウェブサイトは頻繁に更新しています。お時間がありましたら、遡ってご覧ください。岐阜にはずっと行けていません。懐かしいです。

  3. よりたん より:

    遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。歌舞伎座中継見逃しました~~。残念!!私は博多座で猿之助の「四の切」を見て以来、歌舞伎のファンになりました。大怪我からの完全復帰とは奇跡(努力?)ですね。パンデミックが収まり、生の舞台を見る日が待ち遠しいです。寿猿さんがお元気で活躍なさっているのですから、私も今年もがんばろうと思います。(→なぜか小学生みたいになります・笑)

  4. 外山節子 より:

    よりたん、コメントをありがとうございます。私録画してあるので、ダビングしてお送りします。博多座での「四の切」は、途中で腰元が6人登場して、「忠信が二人って不思議よね」「怪しいものがいるかもしれないから、私たちも手伝いましょう」等々と言っていたでしょう。現在の歌舞伎座の上演形態は、各部の役者も裏方も総入れ替えなので、人が足りません。だから腰元ではなくて幹部役者が演じる武士や女官が登場します。その人たちが最後の場面で悪い法師たちを押さえつけるという演出です。寿猿さんは途中でも大詰めでも薙刀を持って元気に演じていらっしゃるので、90代とは思えませぬ。

  5. えの字 より:

    せの字~!マスク二重にして千穐楽前日の昨晩、歌舞伎座行って参りました。義経千本桜「四の切」猿之助主演、澤瀉屋バージョン生舞台は初めてでしたので、このブログを読ませていただいた時に、何とか免疫力つけて駆け付けようと覚悟を決めました。後悔無しです!!!竹本葵太夫さんの浄瑠璃に合わせ文楽人形のような身体のさばき、息の合った謡との間、役者として最高峰ですねそして静に「初音の鼓」を打たせ狐忠信が現れた瞬間に白い毛の衣装で全身全霊表現する、弾むまりのように舞台を駆け巡る。超高速早変わりに驚きます。Amazing仔狐の(宙乗り)を見送った後、舞台上はしばらく澤瀉屋役者の皆々様がたたずみ幕閉めを待ってくださっていました。寿猿さんのコロナにかかったその後の回復を心配しておりました。舞台でのお元気な姿本当に良かった!そして私は竹本葵太夫さん、お三味線、出番の多かったツケ打ちさんにも惜しみない拍手をしたのでした。

  6. 外山節子 より:

    えの字〜!私の代わりに生舞台を観てくださったのですね。有難うございます。私もおきぬさまも、今月の四代目復帰を生で観るのを諦めたので、えの字が行ってくださったの嬉しいです。そして、この感想は素晴らしい。葵太夫さんと四代目の台詞の受け渡しは神がかりですよね。

    とは言え、オミクロン拡大は日に日に激化しています。この波が収束するまで、元気でいましょうね。Please stay safe and well.

    せの字

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