古稀日記 1月5日 【The language is changing, for better or worse.】

ずっと気になっていたことがあります。日本語がどんどん変わりつつあります。最初に気づいたのは20年くらい前でした。

このポスター仕事場に貼ってあります。

2001年、オックスフォードと紀伊国屋書店共催のセミナーで講師を務めました。利津子先生、そして「Genki English」というユニットのRichardさんとWilliamさんと2週末にわたって4都市でお話ししました。大阪イベントの前夜、福岡から移動した全員で大阪ニッコーホテルの裏の気楽なレストランで夕食をしました。ホール係が「ライスになります。」と言いました。Williamさんが「Setsuko, what was it ten minutes ago?」とウィンクして笑いました。この時「なります」を最初に耳にしました。今や「です」の代わりに「なります」がはびこっています。困ったものです。

最近は誰もが直截的な言い回しを避けるようです。そして語尾だけを丁寧にします。総理Aが国会で「~させていただくところでございます。」などと連発したのはいけませんでしたね。日本語をこねくりまわした犯人の一人ですわ。

私が今とても心配しているのは助詞「は」の頻度と、「~する」という動詞の崩れです。ニュースで街頭インタビューを受ける一般人まで「コロナがどうなるか心配です。」と言えば良いところを「どうなるか心配だという思いあります。」などとまだるっこしいことを言っています。

日本語には「~する」が付く動詞が多くあります。最近は「~をする」と「を」を入れる傾向が甚だしい。「検討する」を「検討をする」、「決意する」を「決意をする」など、なんだか変だけど許容できるものもあります。しかし、「卒業をする」を聞いた時は、「あなた、それは日本語を曲げてますよ。」とニュース画面に向かって呟いてしまいました。

そんなこんなで(どんな?)ニュースを見るのが時々苦痛になりますが、我慢、我慢、何が起きているかしっかりフォローしなくては、と思っているところでございます。

コメント (4)
  1. Aiko より:

    あけましておめでとうございます!
    今年も良い年になりますように。
    さっき職場の通知に「退館をして下さい」とあるのを見て、違和感〜と感じでいたので我意を得たりでした。それに直言を避ける傾向がどんどん強くなっていますね。頭の中までぼんやりしていきそうです・・・助詞だいじょうぶかな?あ、助詞が抜けた!

  2. 外山節子 より:

    Aikoちゃ〜ん!コメントをありがとうございます。「退館をしてください」は、かなり重症ですわ。「を」の濫用は困りますよね。

    そして、助詞抜け。私自身、「メールをありがとうございました。」と書くべきところを「メールありがとうございました。」と書いていることに気づき、あれれと思うことがあります。日本語教育の先生方は、お困りでしょうね。

  3. よりたん より:

    2001年9月、福岡会場で初めて節子先生のプレゼンテーションに参加し、感動したのを覚えています。それ以来お世話になっております。私自身日本語の使い方があやふやな事が多いのですが、そんな私でも(!)最近のテレビやいろんな場面で違和感を感じる事があります。自分に敬語を使ったりするアナウンサーもいますから。日本語は難しいです。

  4. 外山節子 より:

    よりたん、コメントをありがとうございます。そうです。あのセミナーツアーで福岡に行ったとき、よりたんと出会ったのでした。2001年9月15日はよりたん記念日です。

    違和感のある日本語が多いですよね。自分について「幼少の頃」と言っているのを聞くと、不思議に思います。「ご幼少のみぎり」?「XYZさんは自身のツイッターで発信した。」という「自身の」も気になります。英語のhis/her (own)の感覚なのだと思いますが、「XYZさんはツイッターで発信した。」というだけで、誰のツイッターか明白なのに。。。自分のことを棚に上げているのかもしれませんが、自分の言葉に気をつけつつ、日本語の変化に注目していこうと思います。

    「穴がほげとる」博多に行きたかと。

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