ウクライナの子どもたちとのオンライン授業15回目を振り返ります。
NGOウェブサイトの案内は、「We’ll be smart detectives. We will look at one small part of something, think and figure out what it is. Is it a cat or a dog? Is it an elephant or a hippo? We will review the alphabet chant and learn words that begin with Dd.」としました。対象年齢は6~10歳。
オンライン授業の準備は、絵本を決めたら、毎日少しずつ準備を進めます。私の通常の仕事スタイルは、授業計画・プレゼン・絵カードを一気に作ってしまうのですが、そうすると授業当日までに新鮮さが失われburn outしてしまいます。それで、少しずつ進めることにしました。週末にぴろこちゃんにzoomでプレゼンや絵カードの見え具合をチェックしてもらい、細部は月曜日と当日に詰めるという配分が良いことがわかりました。無事に繋がるまでドキドキする特殊な状況ですから、なんだかとても疲れるのです。
『LOOK BOOK』はTana Hoban作の写真絵本で黒いページの真ん中に穴が開いていて、何かが一部見えます。それは何か考えてページをめくります。同作者の『LOOK! LOOK! LOOK!』というビッグブックを小学校の授業で何度も使いました。
これは「半知」です。PENの会の研修が盛んだった頃、佐藤貴子先生や、渋谷徹先生がテーマにしていました。全部見えているのにWhat’s this?と問うのは自然では無い。一部見えているから、全体を推測させるためにWhat’s this?と問いかける。入門期の英語であっても、従来のPPPではなく、意味のある活動で自然な英語を教えるために「半知」の状況を作ろう、という提案は、平易で明確です。
この「半知」の状況をウクライナの子どもとのオンライン授業で作るには工夫が必要です。なぜなら、当日zoomに入室するまで、どんな子ども(6歳~8歳)が何人いるかわかりません。つまり、子どもの英語力も、生活体験もわかりません。ヒマワリをよく知っていて認知できるか、オンラインの画像でヒマワリの花の中央の焦茶色の部分を見てヒマワリとわかるのか、ヒマワリの英語を知っているのか、「半知」どころか、全然わからない活動を提示することになると、子どもはイヤになってしまうでしょう。
そこで、絵本を読む前の活動で、登場するitemsを絵カードで見せて、英語で言うことにしました。つまり「半知」クイズの答を先に教えるのです。また、ぴろこちゃんとzoomでプレゼンを見て相談し、黒いページの透明度を上げて全体像がうっすらと見えるようにしました。さらに、Look! What is it?とIt’s a sunflower.のように、子どもに言わせたい英語のテキストボックスを加えました。これは効果がありました。文字は手がかりになります。
今回は15回目の授業でした。15回変えていないルーティーンがあります。授業の開始にGood Morning Song、終わりにGood-Bye SongをHappy Birthdayのメロディーで歌います。青いシャツに黄色のbow tieをつけたBEARと一緒に歌います。Good-Bye Songが近づくと、ぬいぐるみを持ってスタンバイする子どもがいます。体を動かして、よく知っている歌を歌うのは、楽しいことなのですね。
7月12日 LOOK BOOK
1)Hello! It’s good to see you. How are you? Good? Can you say “genki”? “Genki” means Good in Japanese. 喜んで言う子どもがいる。モデレーターのAさんにAre you Genki?と問うと、笑顔でthumb upを見せてくれた。Aさんがいるのが心強い。
2)入室した子どもが20人程度になったので授業を始める。遅れて入室する子どももいて30人前後だったようだ。(zoom画面下部の人数をチェックする余裕が無い)Good morning song. [s’ohodni] Today. Today is July 12th. Can you say it? Good! Twelfth is a tricky word. Let’s practice. 天気の絵カードを見せる。In ヤポーニヤ、it was rainy and then cloudy and now it’s sunny. How’s the weather in Ukraine?
3) Today we’ll read this book. We’ll look at a small part of something, think and figure out what it is. It’s like a quiz.
4) Today we will practice, “What is it? It’s なになに.” とセンテンスstripを見せる。
5)We’ll watch a video now. The teacher and the children are saying, “What is it?” “It’s a ….”
6) Did you enjoy the video? Now I’m going to show you pictures. You will see them in the Look Book. 絵カードをslow revealで見せ、子どもの反応に合わせて、category, size, colorなどを言って聞かせる。絵本に登場するモノの中では、pretzel, lobster, mothが難易度が高い。特にmothは聞き慣れない単語だ。予想した通り、mothの絵カードでbutterflyと答える。butterflyとmothの絵カードを並べて見せ、チョウチョウの折り紙を動かして見せながら、A butterfly and a moth look the same but they are different. A butterfly stops with the wings closed. A moth stops with the wings open.と教えた。
7)画面共有してLook Bookを見せる。答えがわかると嬉しそうな声で元気に英語を言う。ページをめくって全体像を見たい時に”Please open.”と言うように教えると、すぐに反応して、”Please open.”と言う。絵本を進めるうちに、”Open, please.”と言う子どももいたので、学校の英語教育で自然で生きた英語を学んでいると推察される。
8)センテンスstripを見せ、I have an easy song to practice this English.と言い、What is it? It’s a dog/bear.をLondon Bridgeのメロディーで歌う。長い単語も歌ってみようと言い、hippopotamusを歌った。
9)時間に余裕があったので、5)のビデオを再度見せた。
10)画面共有を解除すると、ギャラリービューの小さいウィンドウのあちこちに、ペットの犬・猫、ぬいぐるみをかかえて、「先生、見て、聞いて」という表情の子どもがいるので思わず笑ってしまった。子ども一人一人にペットの名前を聞くと喜んで答える。ペットの名前だけを言う子どももいるが、”My dog name is AAAAA.”のように、しっかり話す子どももいる。(dog’sと’を付けるのは難しいようだ。)
11)Alphabet Chant: Today we learned many words. Dog begins with Dd. [d], [d], dog. I have ten words that begin with Dd. 穴を開けた白紙をかぶせた絵カードを見せる。絵カード1枚ごとに白紙に開ける穴の位置を変え、穴を大きくして容易にわかるようにした。白紙を動かしながら、絵についてカテゴリー、色、サイズを言って聞かせた。
11)Good-bye song. Today we read a photograph book and learned “What is it? It’s a …” Next week we’ll read a story book. 子どもは元気にBye-bye!と言って手を振る。Teacher, thank you. Have a nice day!という子どももいる。