ウクライナの子どもたちとのオンライン授業25回目を振り返ります。
Title: Music, Movement and Story
Date: Tuesday, October 11th, 10:00 Kiev Time
Age: 6-10 years old
Speaker: Setsuko Toyama, English teacher, Japan
Description: We will read “Magic Opposites,” sing “Opposites Song” and play “Find the Opposite Word Game.” Look around you and find big/small/long/short things!
10月10日にウクライナは大規模なミサイル攻撃を受けました。首都キーウも攻撃され、市民はシェルターに留まるようにとアラート=緊急事態宣言が出されました。アラートが解かれた直後、NGOからメールが送られてきました。死傷者が出た、キーウの中心部の美術館も攻撃されたとありました。そして、翌日のzoomのリンクを送ってくれました。明日オンライン授業に入る子どもを元気にするのが私の仕事だと思いました。レッスンプランを練り直し、とにかく楽しく体を動かす授業にしました。
zoomが繋がるとモデレーターのAさんが疲れ切った表情でした。子どもが入室するとウクライナ語で「シェルターにいますか?」と確認し、「I think you can start. 」とGoサインを出してくれました。「If something happens, let me know.」と頼んで授業を始めました。子どもたちはぬいぐるみを持ってGood morning songを歌い、oppositesの単語の身体表現を元気に楽しみました。今まででいちばん戦時下であることを意識しました。
10月11日 Magic Opposites
1. Greeting
9月に毎回参加していた子どもは名前がわかるので、Hello, M! Hello, R!と声をかけると、嬉しそうにHello!と言って手を振る。
2. Good morning song. Date, weather
ぬいぐるみを動かして歌う。とても嬉しそう。
3. 絵本:Magic Opposites
今日はこの本を読みます。Oppositesはウクライナ語で[プロートゥレジニストゥ]と練習しておいた単語を聞かせると、子どもがcorrectと言ってくれた。ほっ。英語が上手な子どもばかりではないから、授業のキーワードくらいはウクライナ語で確認したいのだ。
消しゴム大小、到来物の梨大小、crocodileの大小を用意しておき、big/smallを練習した。見せると声をあげて喜ぶ。実物が何より効果がある。子どもは消しゴムをrubberと言った。やはりイギリス英語圏だ。梨を「This is a Japanese pear.」と見せたが、appleと言う子どもがいる。
数年前、砂田先生がTTのために作ってくださったkeynoteをベースに、oppositesの1つを隠しておいて、子どもが答えたら単語を見せるように作った。また、最初に表紙の絵を反転させたり、上下反対にしたスライドを見せた。Mくんが体を折り曲げて覗き込んでいるのが可愛かった。
見開きごとに絵について英語で話す。子どもはよく理解して反応し、ターゲットの単語を言う。6~10歳の子どもたちがたくさん単語を知っている。日本の小学校高学年より語彙力がある。big/small, sun/rain, miss/hit, in/out, left/right, land/sea, boy/girl, hot/cold, empty/full, first/last, up/downを、動作をつけながら言って楽しんだ。
4. Opposites Songs: big and small, long and short, fast and slowを動物のイラストで絵カードにした。Magic Timeの歌をアカペラで教え、動作をしながら歌った。すぐに覚えて一緒に歌う。
5. Find the opposite word game:6枚の絵カードの裏に1~6の数を印刷してMatching gameをした。数ヶ月前は、ゲームをすると子どもが大声を出して収拾がつかなくなる事態が起きたけれど、今回は子どもの名前を呼び、一人ずつ参加させてゲームを進めることができた。同じ絵カードを探すのではなく、反対語を探すので、fastが見えている状態で、「We are looking for “slow.” What number is “slow”?」のように、丁寧に話しかけて進めた。
子どもは20人くらいなのに、同じ名前Mの子どもがいて、当てると「Me?」と反応する。「You played already. The other M.」 と対応するのだけれど、ギャラリービューの中のどっちのMくんが「Me?」と言ったのか確信が持てないし、焦った。顔を出していない子どもも、ゲームになるとスタンプで手を挙げる。しかし、キリル文字なので「え~っと、もしかしてニキータ?」と聞くとモデレーターのAさんが瞬時に「Yes!」と表記を英語アルファベットに変更してくれた。無事「ニキータ」という子どもに当てると男の子だった。名前は難しい。
6. Opposites by Sandra Boyton:Oppositesの絵本を数冊見せると「わぁ!先生たくさん絵本もっているね」と子どもらしい反応。「歌も上手だったし、ゲームもよく頑張ったから、もう1冊絵本を読みましょう」と言うと大喜びする。この絵本は、14センチ四方で、とても小さい。文字を確実に見せるためにkeynoteにし、単語を隠して子どもが答えたら見せるように作った。Sandra Boytonの絵本は動物がとてもユーモラスに描かれていて、絵を見せるだけで子どもが喜んでくれる。big/small, short/tall, high/low, fast/slow, heavy/light, day/night, in/out, whisper/shout, weak/heavy, hot/cold, young/old, wet/dry, Hello!/Goodbyeを扱った。どの単語も動作をして身体表現をしながら元気に言う。young/oldは卵から孵ったばかりの赤ちゃんとお母さん恐竜のイラストで「Look. We have two dinosaurs. The baby’s just hatched from the egg. Young. This is the mother. Old.」と言うと、すぐにyoung and oldと復唱する。これは身体表現が難しいので、「You’re young. I’m old.」と言ってみせると、Rちゃんが即座に「You’re young.」と言うので驚いた。子どもたちはミュートを外した状態なので、みんなの笑い声や反応が瞬時に返ってくる。「Thank you.」と返すと、別の子どもが「Youngly old!」と言った。この言語能力、相手に伝えたい気持ち、ユーモア、社会性には脱帽である。
7. Ll words: long, lemon, lamp, lion, leaf, light, lizard, ladder, ladybug, lettuceをヒントを話しながら、slow revealで見せた。「This is an animal. It’s the king of the animals.」言うとイラストが一部しか見えていないのにLion!と反応する。よく聞いている。lightのイラストでbulbと言う子どもがいる。単語をよく知っている。
8. Good Bye Song
付記:授業の終わりがけに、Rちゃんが「Where’s Ayako?」聞いてきた。火曜日の授業はSetsukoとAyakoの二人の先生だと楽しみにしているようだ。
こんばんは。いつも楽しみに拝読していますが、コメントは久しぶりです。キーウなど各地でロシアの大規模な攻撃が始まり、子どもたちやモデレーターさんの安否を心配していましたが、楽しいレッスンが出来たようで本当に良かったです。子どもたちとのやり取りを拝見していて、このレッスンが回を重ねるごとに、子どもたちも内容も成熟(良い言葉が見つかりませんが)していくのがよくわかります。十分に練り上げられたプランと準備(ぬいぐるみ、絵本、絵カードなど)、そして子どもたちへの愛情がそれを可能にしているでしょう。引き続きがんばってくださいませ。
それにしても!子どもたちの英語力には驚きます。ウクライナ語は英語とかなり違うと思われますが、低学年で自然な英語表現ができるなんて。。。日本の小学校の現状を思うと歯がゆい思いがしますが、できることをがんばります。
よりたん、コメントをありがとうございます。
オンライン授業は一人ではなく、みなさんに手伝っていただいて続けられます。そして、何より子どもたちが可愛いです。驚くことばかりです。distract children from realityを実現しながら、子どもが英語を使い、少しは新しいことを学習するように工夫していきます。
よりたんから頂戴した「動物の赤ちゃん」のスライドショーをいつ使えるか、考慮中です。(^ ^)