古稀日記　2022年11月15日　【a persimmon】

またウクライナが大規模な爆撃を受けました。10月以降、電力供給量の40％を失い、計画停電を実施してきました。今回の爆撃で50％を失ったとABC Newsが報じていました。電力無しで、どうやって厳しい冬を乗り切ることができるのでしょう。電力不足が教育に大きな影響を与えることを、実際に経験しましたので、そのことを書こうを思います。

昨日はウクライナのオンライン授業でした。小学校の先生と子どもたちが参加しました。事前にコーディネーターが「避難先で学校の授業をオンラインで受けている2年生10数人である」ことを知らせてくださっていました。

zoomに入室してO先生と挨拶しました。安心感が湧く優しい方でした。授業を始めると、英語がよくわからない子どももいるので、ウクライナ語で補足してくださっていましたが、途中で見えなくなりました。モデレーターのAさんが「先生は、停電でzoomから退室しました。」とチャットで知らせてくれました。

避難先の子どもたちにオンライン授業を続けようとしても、電力制限に阻まれるという状況だから、NGOの授業に入ってこられたのだな、と思い至りました。現在ボランティアで授業をしている先生は、カナダ、オーストラリア、日本、ヨーロッパの国々ですから、インターネット接続が安定しています。

初対面の子どもたちは、授業を楽しみにしていたようで、先生が見えなくなっても、授業に集中して、よく英語を聞き、英語を言いました。節子、彩子と漢字で書き、アルファベットで書き、名前を言えるかな？と言うと、セツコ、アヤコと復唱しました。授業の最初にGood Morning Songを歌うので、「妹や弟を連れてきても良いよ。犬でも猫でも良いよ。前の授業にはウサギも鳥もいました。ぬいぐるみを取ってくるなら待ってあげます。」と言うと、なんと巨大なロシアンブルー猫を連れてきた男の子がいました。両腕で抱えていました。猫がどこかに行ってしまうと「My cat go.」と言って笑いました。この発話は素晴らしい。「猫が行っちゃったよ」と先生に英語で言いたいので、知っている英語を全部使ったわけです。こう言う言語能力を持った子どもは、学習が進めば「My cat has gone.」のように言えるようになります。ウクライナの子どもに授業をしていて常に感じることは、言いたいことがあるから言えるようになるということです。

また、少しくらいわからなくても耳を閉じないで、聞こえたことをそのまま復唱します。スポンジのように言語を吸収します。昨日は、使乃先生のお茶の先生の応援メッセージ動画を見せました。6歳、7歳には日本の文化のtea ceremonyは難しいかと心配で、ところどころで一時停止して簡単な説明をつけました。子どもたちは近々とモニターに顔を近づけて興味津々。掛け軸を見せて、there’s a scroll with a Japanese poemと言うとscrollとすぐに言う子どもがいました。柿の形の香箱を this is incense. It’s good smell.と言うとincenseと繰り返す子どもがいました。動画の最後に着物姿のお茶の先生がI stand with Ukraine.と言うと、みんな笑顔でした。実物の柿も見せました。平和になって大人になって日本に関心を持つことがあれば、きっとこの動画とこの授業を思い出してくれるでしょう。オンライン授業は現在のためではなく、未来のためだと思います。

ある子どもは、授業で文字を見せるたびに、ぐ～っと顔を寄せて書き取ろうとしていました。授業を受けることを、教えてもらうこと、勉強することが大好きなのでしょう。こういう子どもから勉強を奪ってはいけない。

授業終わりのGood Bye songを、子どもたち（ぬいぐるみもロシアンブルー猫も！）は笑顔で身体を動かしながら歌いました。Stay safe.（無事でいてね）と言うと Thank you!と返事をする子どもがいました。みんな元気でいてほしい。