【Teaching Children Online #42】2023年2月10日 オンライン授業

ウクライナの子どもたちのオンライン授業42回目を振り返ります。

Title: You Are Smart in Many Ways

Description: Each of you are different from anyone else. You learn in different ways  and you are smart (intelligent) in different ways. Your preferences for work are important for your future. Join the three lessons and find out what makes you special by discovering Learning Styles, The Theory of Multiple Intelligences, and a wide spectrum of future jobs to choose from.

Date: February 9th, 11:00 Kyiv Time

3月から続けてきた小学校低学年対象の授業とは異なり、6年生から8年生を対象にした「学習スタイル・多重知能・キャリア」の3回シリーズです。1回目の「学習スタイル」授業については、古稀日記2月3日に書きました。

ウクライナの英語教育は進んでいます。低学年の子どもも英語による絵本と歌とゲームの授業を楽しんでいますし、積極的に手を挙げて英語で発言します。中学生なら英語による授業を容易に理解するだろうと予測して、2月2日「学習スタイル」の授業をしました。担任の先生から「こういう機会があって嬉しい。次回はマイクとカメラの位置を工夫します。英語が得意ではない生徒もいるので、次回は少しゆっくり話してください。」とフィードバックがありました。「そうだ、ウクライナの子どもは英語ができるという大前提で、英語での話しかけにアクセルを踏んでしまったかもしれない」と反省し、「多重知能(MI)」の授業をしっかり見直しました。

1クラス20数人の同じ生徒たちに授業をするので、先週見たクラスの様子をイメージしながらkeynoteを作りました。日本の小学校でキャリア教育として何度もMIの授業をしましたから、そのkeynoteを英語にすれば良いかと考えていたのですが、結局大部分を新しく作りました。

ハンドアウトをあらかじめ配布できないので、MI Pieを生徒たちに描かせます。この手順もkeynoteで1つずつスライドに作りました。また、一つ一つのSmartの説明を簡略にし、そのSmartをイメージできる有名人の例も、ウクライナの中2にわかるものに変更しました。ほぼ出来上がったのは授業の前日で、夜遅くにひろこ先生と同僚のK先生がzoomで繋がって検討を手伝ってくださいました。ありがとうございます。

MI PieにはそれぞれのSmartを想起させるイラストとアイコンを入れていました。生徒がその場でチャチャッと描けるように簡略にすると良いと提案されました。修正しました。

Logic Smartの例としての有名人は適切な例を思いつけなかったので、1, 2, 3, 5, 8 のフィボナッチ数列を例に使うことにしました。

2023年2月9日 Multiple Intelligences for 8th graders

1. Greetings: zoomが繋がると、カメラの位置が変更されて、先週より生徒が大きく映っている。Hello!と手を振るとみんな手を振ってHello!と言う。生徒の声も先週より大きく鮮明に聞こえる。担任の先生に声をかけると、生徒たちの向こうに座っていた先生が立ち上がってくださった。「この授業を実現してくださってありがとう」と挨拶した。

2. Intro: 「先週は学習スタイルについて勉強した。覚えていますか?Visual learners, raise your hand.」のように言って挙手。みんな明るく元気だ。「画面共有をしてスライドを見ながら進めます。紙、またはノートとペンの用意はいいですか?」全員がYes!と言う。Show it to me. と言うとスクリーン(私には見えない)に向かって紙をひらひらさせるのが、私のzoom画面のウインドウで確認できる。これで、コミュニケーションが取れることがわかった。

最新版はLife Smartが追加されている。必読!

3. MI: Howard ArmstrongのYou’re Smarter Than You Thinkの表紙を見せる。サブタイトルを拡大して見せる。A Kid’s Guide to Multiple Intelligences。「Kidと言ってもみんなのようなteenagers対象の本だ」と告げ「Today I’m your guide to Multiple Intelligences.」と言った。MI Pieを見せ、何に見えるか問うと、ガヤガヤと何か言っている。「Does it look like a pie?」と言うと、大賛成する。ここで画面共有を停止し、実際に紙に描いて見せる。全員が描いて、ヒラヒラして見せてくれた。画面共有再開。

4. パイの1ピースをハイライトし、アイコン(文字・イラスト)を描き、〇〇 Smartと書くように指示する。みんな素早い。Art Smartでクレヨンを描き入れた時点で、「What Smart do you think this is?」と問うと、Art Smart!と声が上がって驚いた。Painting Smartという声も聞こえた。

この後は、アイコンを描き入れた時点でSmartを予測させた。Body Smart, Music Smartは難なくクリア。People Smartで、Friends Smartと言った生徒がいて驚いた。MI Pieが完成したので、画面共有を停止。あらかじめ用意しておいた私の手描きのMI Pieを見せて全員のPieを確認。カメラに向かってひらひら。素直で可愛い生徒たちだ!

下手だから親しみやすいでしょう。おほほ。

5. 画面共有再開。1つ1つのSmartの説明と確認をした。【Word Smartの例】英語のtextをほぼそのままゆっくりクリアに読んで聞かせ、少し補足し、具体例として村上春樹の本の写真を出現させた。「A famous person I think of as Word Smart is Haruki Murakami. He’s a Japanese novelist, etc.」のように説明してから、「If you think you’re Word Smart, raise your hand.」と指示。手を挙げている生徒に「 Please say, “I’m Word Smart.”」のように声を出させた。声に出して言うのは言葉の意味を実感させるのに効果がある。このクラスの生徒はためらわず大きな声で言う。ハウリングするから小さい声にして、と言ってもずっと大きな声を出していた。(^ ^) 

“Effectively means very well.”と補足した。

Word Smart: Haruki Murakami

Logic Smart: Fibonacci Sequenceの解説

Art Smart: Banksiの少女とハート形の風船の絵

Body Smart: ウクライナのサッカーチームとキエフバレエ団のダンサー達

Music Smart: BTS

People Smart: Andriy Shevchenko(アンドリー・シェフチェンコ)、ウクライナの元サッカー選手でウクライナチームの監督。(相馬恵美子先生が提案してくださった。ありがとうございました。)

Self Smart: ニュージーランドのアーダーン前首相

Nature Smart: Greta Thunberg

6. 自分のベスト3(英語ではthe top three)を選ばせた。私のベスト3は、Word Smart, Music Smart, People Smartで、この3つに丸をつけて見せた。同じ人はいなかった。生徒には同じ長テーブルを囲んでいる友達と比べさせた。次に、「Find someone who has the same top three. I’ll give you one minute.」と言い、生徒たちは歩き回ってMI Pieを見せ合った。結果5人の生徒(全員女の子)がWord Smart, Art Smart, Music Smartの3つが同じだった。「Wow! You are artists!」とコメントした。

7. 画面共有再開。「誰もが8つのSmartを持っているが得手不得手がある。だからみんな異なる。異なっているが全員がSmartである」と話し、最後のスライドの Everyone in this class is very, very smart! You’re smarter than you think.を見せた。画面共有を解除した。

8. クラスの雰囲気がとても良いので、「Could you do me a favor?」と言うと口々に 「Yes! Go ahead! 」と答える。火曜日授業のBearを見せ、「子どもたちとの授業では最後にGood bye Songを歌う。みんな小さい子どもになって歌ってくれる?」と持ちかけるとYes!ですと。見守っているモデレーターもコーディネーターも「ええっ?歌うの?信じられない」という表情。しかし、生徒たちはちゃんと歌ってくれた。Good bye, dear children.のところをdear teacherと歌っている声も聞こえた。2回目はGood bye, Ukraine!と歌った。「自分のstrengthsを活かし、weaknessesは強くする方法を探そう」と話した。

おまけ:授業の終わりがけに「Do you have questions?」と尋ねると、一人の生徒が手を挙げて「Where’s Ayako?」と聞いたのがおかしかった。火曜日の授業で彩子先生がいないと、「 Is Ayako in this lesson?」と聞く彩子ファンの7歳がいるのだけれど、13歳にもいたのでした。彩子先生、人気者!あはは!

Comments (6)
  1. たにやまよりこ より:

    高学年の子どもたち対象のMIの授業の報告をありがとうございます。大変興味深く読ませて頂きました。子どもたちが積極的に参加していて、とても興味のある内容だったことがわかります。それぞれのSmartの例の最新版、納得です。(以前は嵐のメンバーの名前がありましたね。)リモートなので様々な工夫が重ねてあり、とてもわかりやすかったことでしょう。それにしても高学年の子供たちも可愛いですね!私も授業がマンネリにならないよう、子どもたちのMIに配慮しなくてはと改めて思いました。次回を楽しみにしています。

  2. 外山節子 より:

    よりたん、コメントをありがとうございます。

    そうなんです。もう嵐を例に出すことができません。嵐だけでなく、子どもにわかる実例をre-thinkする必要がありました。また、何を伝えて、何を考えてもらいたいのか、自分に問い直しました。

    実際に授業をしてみると、対象の生徒たちだけでなく、授業をコーディネートしたスタッフの方たちも深く関心を持ってくださったのが印象的でした。

    Thomas Armstrong先生のYou’re Smarter Than You Thinkの最新版にはLife Smartが加筆されていますので、必読です。

    節子

  3. 小野 由紀子 より:

    節子先生のお薦めの「てぶくろ」をネットで購入しました。予想通りに心温まる絵とストーリーでした。教室で「てぶくろ」の話をすると3年生の女の子が「知ってる~。小さいころ、ママが何回も読んでくれたもの。」という反応がありました。幼稚園の時に劇でも演じたとのことでした。それで、そのストーリーががウクライナで作られたものだと教えてあげると、目を輝かせて「そうな~ん!」と言っていました。今ではウクライナは、子供たちにとっても知らない国ではなくなったようです。早く戦争が終わることを願わずにいられません。

  4. 外山節子 より:

    ゆきこっち〜!コメントをありがとうございます。早速絵本を購入なさって、教室で読んであげたのですね。素敵!3年生の女の子の反応嬉しいです。「てぶくろ」は、ロシア民話だと思っている人もいますが、ウクライナ民話です。ボルシチもウクライナなんです。戦争が起きるまで、ウクライナのことは殆ど知らなかった自分が恥ずかしいですが、縁があってウクライナの子どもたちと毎週会うようになりました。今日は、Happy Valentine’s Day, Mouse!という絵本を読むので、急いでネズミ耳のカチューシャを作ったところです。

    Happy Valentine’s Day! Yukikocchi!

  5. 小野 由紀子 より:

    節子先生、コメントありがとうございました。ボルシチはロシアの料理だとずっと思っていました。ウクライナ料理とは知らなかったです!!
    節子先生は手先も器用でいらっしゃるのですね(*’▽’)きっと先生の温かい気持ちがウクライナの子供たちに伝わって、いつか日本に来てみたいと思う子供が出てくるかも知れませんね。先生たちの活動は、ウクライナと日本の懸け橋になっていると思います。

  6. 外山節子 より:

    ゆきこっち〜!

    動物耳カチューシャを作るのに慣れてきました。ネズミ耳をつけた写真をどこかにアップします。

    節子

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