古稀日記 2025年2月16日 【birthdays】

三条の祖父母、東京の息子一家、神奈川の娘一家を合わせると9人です。そのうち、2人が3月生まれ、3人が3月生まれなので、2月と3月はお誕生日zoom会議が頻繁に計画されます。11日祝日の夕方は、電気を決して、キャンドルを点けて、お約束のケーキを食しました。

13日~14日は久しぶりに歌舞伎見物でした。今月は猿若祭と銘打っって中村屋ゆかりの演目です。私のお目当は夜の部切りの「文七元結」でした。

歌舞伎は大きく分けて「時代物」と「世話物」があります。「世話物」は江戸時代の現代劇とも言える、江戸の民の生活を描いた演目です。「文七元結」は三遊亭円朝が口演した人情噺を題材に作られ、明治35年に初演され、昭和以降の上演記録を見ると、ほぼ毎年、どこかの劇場で演じられています。

左官屋の長兵衛、女房お兼、娘お久、吉原の女将、集金した50両を紛失して身投げしようとする文七、その雇い主、長屋の家主、と様々な人が登場しますが、悪者がひとりもいません。長兵衛は腕は良いのですが、博打ですってんてんになり年が越せない。その父を救おうとお久は吉原に身を売り、そのお金で借金を返しておくれ、「おとっつぁん。お、か、ね。」と金子を手渡す場面は、つい涙ぐんでしまい、人情噺見物ならではのカタルシスです。

お久は脚本によっては13歳。今回の中村屋のお久は17歳でした。ツギの当たった汚れた着物で登場するお久は素顔ですから、男らしさの薄い10代の役者が演じます。全員の善意が重なり合って、お久は綺麗な着物を着せてもらい親元に帰ります。私は尾上右近、中村莟玉のお久を見ています。どちらも上手かったけれど、大詰めで白塗りで登場した右近が、まるで傾城のように美しくなってしまって、これはよくないと思ったものです。

今月のお久は勘太郎です。勘九郎の長男の勘太郎は中学生でまだ声変わりの途中。背が伸びて、お久を演じるのはこれが最初で最後になるのかなと思いました。勘太郎は初舞台の桃太郎から見ています。よその子どもの成長は早いですね。だいたい、歌舞伎ファンは親戚のおばさんみたいな気持ちになるので、お久を見るというより、お久を演じている勘太郎を見て、感動してしまいます。

2012年に歌舞伎を好きになり、その年の暮れに勘三郎さんの襲名披露記念DVDボックスという大きな買い物をして、その中で「文七元結」を初めて見ました。勘三郎さんの生の舞台は一度も見ていませんが、今回勘九郎演じる長兵衛は、お父さんの勘三郎とは異なる部分も多々あるけれど、声はそっくりでした。DNAですわ。金子を文七に投げ渡して、「死ぬな佳〜っ!」と花道を駆け抜ける勘九郎長兵衛に見とれました。

「文七元結」には撮影が入っていたので、その内、伝統芸能の番組で放送されるかもしれません。アンテナをはって待つことにします。

歌舞伎座前の演目看板の前でツーショット、と思ったのですが、ひーさんの自撮り画面に私が入り切りませんでした。練習が必要ですぅ。

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