21日は、OUPイベントでプレゼン、昌徳宮(チャンドックン)見物、そして書店で「赤い袖先」を購入という長い一日でした。土曜日のソウルは、銀座や新宿のような人混みでした。昌徳宮も大勢の人が訪れていて、見たところ外国人観光客と韓国人が半々という感じでした。日本人が京都を訪れるように、韓国人も世界遺産の宮殿を訪れるのでしょう。外国人はパスポートを見せると無料。韓服(ハンボク)を着ている人も無料なのだそうで、王様に見えない王様や、派手な妓生があちこち歩いていましたわ。
昌徳宮は敷地が広く、王族が自然を楽しむように造形された後苑は「秘苑」と呼ばれ、決められた時間にガイド付きのツアーを申し込まないと入園できません。後苑は虎が出たほどの深い森なのだそうです。ドラマ「赤い袖先」の虎出現・退治のエピソードはリアルだったのです。
通常に入園して最初に見られるのは仁政殿という正殿です。ドラマで王様が臣下を集めて議論し王命を下す場面があるでしょう。その建物です。この正殿の前には広い石畳があり、中央の通路の横に小さい石碑が並んでいます。一つ一つに正一品、従一品などと刻んであり、臣下は自分の位を表す石の横に座ってひれ伏したわけです。以前は全く目に止まらなかったのですが、今回は、ここに実際に大臣たちが並んだのね、と何百年も前の光景を思い浮かべました。
カン・ミガン著「赤い袖先」は、第22代王の「正祖」(チョンジョ)と、後年側室になる宮女ソン・ドギムの物語です。「正祖」というのは死後贈られる諡(おくりな)で、名前はイ・サンです。イ・サンが10歳のとき、実父(諡:思悼世子)は、実祖父である第21第王「英祖」殺害されます。イ・サンは、自分自身もいつどんな目に遭うか恐れながら成長し、王座についた後も何度も暗殺されそうになった王です。トラウマの塊みたいなイ・サンは、一生懸命聖君になろうとしました。税制改革、公平な人事、奴婢(ノビ)の解放など、業績は大きいのです。
サンが自分から好きになって側室に迎えようとした宮女ドギムが二回も断ったことが史実に残っています。そのドギムとサンの出会いから最後までを描いた「赤い袖先」は、昨年WOWOWで放送されて以来、ずっと私の「現実逃避」になってきました。ドギムを演じるイ・セヨンが好きで、彼女が演じる独立心の強いドギムが好きなのです。
原作の日本語訳が出るとすぐに購入しました。もう何度も何度も読みました。小説とドラマの差異はたくさんありますが、人物を掘り下げて理解できる小説、それを視覚化する美しい映像のドラマのどちらもさらに好きになりました。
ドラマ「赤い袖先」はアジア全体で人気を得て、台本まで出版されました。今回はその台本を買ってきました。私の力では読みこなせないものですが、セリフはすでに聞き込んで知っているので、その部分のハングルをたどって、ゆっくりじっくり読んでいます。
しかし、「現実逃避」にも限界があります。今日は朝一番に郵便局に行って、ユニセフに送金しました。備考欄に「ガザ」と書くと送料がかかりません。
節子さま〜
赤い袖先、今、BSフジでやってるので録画しながら見始めました
ともっち〜!韓国ドラマの時代劇は、台本が綿密に練られていて、史実にフィクションが巧みに織り込まれていて、見入ってしまいます。ドギムを演じるイ・セヨンは、「王になった男」での王妃の演技も秀逸でした。
「赤い袖先」は、ドギム、ギョンヒ、ポギョン、ヨンヒの4人の宮女の友情の描き方も素敵です。設定は朝鮮時代だけれど、現代に通じる職業を持った女性の生き方を描いたドラマになっていると思います。