古稀日記 2024年4月5日 【Nobless oblige.】

先週ウォーキングを再開したのですが、なかなか続けられませんでした。体力落ちています。いかん、いかん。今日は暖かいので「こちのひと」のウォーキングにお供しました。

五十嵐川の両岸が緑色になり始めています。広い自然を眺め歩いていると、いろいろなことを考えます。遠い台湾では地震で大変なことになっている。重大な被害が出た花蓮は観光したことがあるわ。そうだ、募金に行かなくちゃ。今取り掛かっているORT絵本に新学期の桜のイラスト入れられるかしら。今日の夕食は何にしようか。昨日は大谷くんがホームランを打ってよかったわ。裏金議員たちのああだこうだ争いにはうんざりだ。とりあえず納税してもらいたいものだわ、等々、等々。

韓国時代劇を世界レベルに有名にしたのはイ・ビョンフン監督です。この監督の「チャングムの誓い」を見たことのある日本人は多いと思います。歴史に詳しいイ・ビョンフン監督は、長編ドラマ製作について確固たる考えを持っています。

-人気のある俳優を抜擢して視聴率を確保することで製作陣の力にする。

-史実に忠実な部分を大切にすることで、家族揃ってテレビで歴史を学んでもらう。子どもも見ることを常に考慮する。

-歴史を学ぶだけでなく、現代に通じる大切な考えをドラマ化する。視聴者が元気になるドラマにする。

-ガチガチの身分制度の中で自分の考えを貫いて社会的に上昇した人物を描く。視聴者が自分の生き方を肯定できるドラマにする。

イ・ビョンフン監督は、何百年の歴史の中から一人の人物を選び、その人を魅力的に描くために、脚本家と充分話し合います。書き直しを重ねてできた脚本には、魅力的な台詞がたくさんあります。朝鮮時代第19代王粛宗(スクチョン)とその側室を描いた「トンイ」は何度も放送されています。そのたびに、見てしまいます。

今回は「尊い」という言葉が何度も耳に入ってきました。正義の忠臣が、邪悪な重臣が処刑に向かうとき「その尊い才能を別のことに使っていればよかったのに。」と言います。何度も聴き込むと「尊い」は「キーハン」と発音されているので調べると「貴」でした。この「キーハン」は別の文脈では「身分の高い」人を形容しますが、「トンイ」最終回で「尊い心を持っていれば、生まれた身分に関係なく尊い人になれる」という台詞もありました。

国会中継を見たり、ニュース番組を見ると、上手に言い抜ける政治家ばかりなので、「その頭の良さを別のことに使えば良いのに」とテレビにヤジを飛ばしています。そんな私なので、今回の「トンイ」放送では、「キーハン」という言葉が耳に入り、心に残りました。

日本の政治家は私利私欲を追うばかりで、自分が政治に関わることでどんな世界にしたいというビジョンを持った人がほとんどいないように見えます。標題のNobless oblige.は、「高貴な人は義務を負う」つまり、高い社会的地位には責任があるという意味です。今の政権は、Nobless oblige.からとても遠いところにあります。ため息。

イ・ビョンフン監督の「イ・サン」の放送が始まります。楽しみ、楽しみ。

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